七畳半神話大系

海辺のカフカの大島さんに憧れている人の本/映画/旅の記録

#1 坂本龍一氏の遺作をスクリーンで観る | ラストエンペラー

何となく新宿ピカデリーの上映スケジュールを眺めていて、ふと目に留まった真っ赤なポスター『ラストエンペラー』。

『The Last Emperor』ポスター 子ども(溥儀)の表情が印象的

 

昨年3月に無くなった坂本龍一氏の一周忌追悼ロードショーとしてリバイバル上映されていた。

作品の内容は一切知らなかったが、坂本龍一氏のエッセイ『坂本龍一 『音楽は自由にする』 | 新潮社』に出てきた作品だったため興味が湧き、19時50分の回を購入。

新宿ピカデリーの中でも2番目に大きいシアター2(301席)は自分含め20~30名程度しかおらず、一人でスクリーンを独り占めした気分。

 

映画はとても素晴らしく、3時間弱の上映時間があっという間に終わっていた。

主人公・溥儀の翻弄人生がなんとも悲しく、坂本龍一氏の音楽も素晴らしく、映画館の大きなスクリーンで観れてとても良かった。

 

特に最期のシーンは音楽も相まって自然と涙してしまった。

かつてずっと閉じ込められていた紫禁城に一般市民として戻った溥儀。

子どもに「あなたは誰?」と言われた溥儀が「おじさんは、中国の皇帝だったんだ」と笑顔で答え、小さな箱からコオロギを出す場面が、本当に・・・。

満州国皇帝にもなった溥儀が、戦犯として約10年の囚人生活を送り、その後は植物を育てながら中華人民共和国の庶民として人生を終える描写がとても印象に残った。

 

また、音楽がどれも物悲しく、特に『The Last Emperor (Theme)』が一番刺さった。

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居ても立っても居られず、帰宅後『坂本龍一 『音楽は自由にする』 | 新潮社』を読み返すと映画作成エピソードがいくつか出てきており、以前はピンとこなかった内容がとても面白くなっていた。

ただ、坂本龍一氏曰く「天皇陛下が東京駅で溥儀を迎えるシーンを撮った」そうだが、そんなシーンはなかったようが気がする(皇帝即位を祝うパーティーで泣いている皇后に向かって「一人で日本に行く」と突き放す溥儀は見た)。監督のベルナルド・ベルトルッチは半年でがらっと編集を変える人だと書かれていたし、撮ったけど使わなかったのか?

 

坂本龍一氏の『戦場のメリークリスマス』も好きで久しぶりに夜道で聞いた。繊細な音なのに力強さもあり、何回聞いても不思議。ただ、メロディーに冬寒さも相まって危うく気持ちが落ち込みそうだったので途中で辞めた)